2016年10月7日金曜日

1024.「コンビニ人間」 村田 沙耶香

36歳の恵子は、大学卒業後も正社員とならず、コンビニエンスストアで18年間アルバイトをしています。

子供の頃から動物の死に対して無感動で、友達の頭をスコップで躊躇なく殴り、授業中に先生のスカートとパンツを引き下ろしたりします。

発達障害の徴候なのか、基本的に感情や道徳心が欠如しています。

人間社会に適合できないのですが、たまたま、コンビニエンスストアという無機質な箱に出会い、そのマニュアルや仕事上のコミュニケーションが水にあい、社会生活を続けています。

そんな中で、アルバイトで入ってきた白羽をを助けたことで、これまでの生き方に揺らぎが生じて・・・。

恵子の年齢は著者の年齢と同じようです。著者自身がコンビニでアルバイトをしているので、その仕事内容や人間関係が非常に現実的です。

社会人としては失格している恵子ですが、コンビニ人間としては秀逸です。人の感情は分からないのですが、お客さんが何を求めているか、自分がどのような行動をすると相手がどう反応するかなどについて精緻しています。

社会で適応できなくても、コンビニで店長、オーナー、さらには経営層として働けば、実はとんでもない逸材になるのではないだろうかと思いました。