これぞ地政学といった内容の本です。
世界史からのアプローチではなく、地理からのアプローチでこれまで起きてきた国家間の紛争や、今後の予測が書かれています。
なぜ、同じイスラム教ながらスンニ派よりシーア派が優位を保ち、イランが無視できない勢力を保っているのかが説明されています。
中国についても一章が割かれ、黄禍の危険性を警告しています。
農業に適した気候と豊富な資源、そしてロシアにはない海への出口を持っていながら、世界人口の5分の1を占める人民を養うために、領土を拡大し続けるというものです。
中国の記載について不満に思ったのは、中国の古来から継続する一つの国家であり、その版図を清のときのものとしていることです。中国は単なる場所であり、そこを漢民族、女真族、モンゴル族が交互に支配していたので、現在、中国が主張する領土は決して古来からの漢民族の領土ではないからです。
本書の結論としては、今後の世界はアメリカが優位を保ちつつも、混沌となって紛争的になるということでした。