29歳の葉太は、会社を辞め父の遺産を使って、ニューヨークを訪れます。夢であったセントラルパークで寝転がって読書をしようとしたところ、パスポート、お金、スーツケースの鍵などが入ったカバンを盗まれてしまいます。葉太は手持ちの12ドルで残りの四日間を過ごすことになりますが・・・
体面ばかり気にし、父親へのコンプレックスを持った高等遊民が旅先でトラブルに出会う話です。
父親と母親が自分以外を演じていて、それを嫌っていた自分も結局、本当の自分以外を演じていました。
異国で自分のIDを全て失ったことで、生きるために自分以外を演じることができなくなり、自分をさらけ出し、躁鬱を繰り返すなかで、自分の本質に近づいていきます。
旅によって人間が変わったとまでいきませんが、仮面をはずして自分に向き合えたと感じました。