2017年7月24日月曜日

1200.「フィリピンパブ嬢の社会学」 中島弘象

タイトルは修士論文のようですが内容は掛け値なし面白いです。

大学院生だった著者が修士論文の対象としてフィリピンパブのホステスの実態を選び、フィリピンパブに通い始めます。調査の途中でホステスのミカと交際するようになり、ミイラ取りがミイラになってしまいます。

ミカと付き合う中で、フィパブ嬢がどうやって日本に来たのか、暴力団の関連、搾取の状況などが明らかになっていきます。

そして、それらの問題よりも根が深いのが母国の家族の問題。母国の家族は日本で働く彼女たちの実態を知らず、お金が湯水のように湧いて出るものと思い、タカリにたかります。家族どころか見たこともない親戚や、父親の本妻の子供の学費、母親の彼氏の借金、姉の息子の歯医者代など際限がありません。

著者はミカと結婚するのですが、ミカとの子供が生まれたときの子供の教育や、一生涯続く母国の親族からのタカリと、苦悩は尽きることがないように思えます。