2013年10月12日土曜日

147.「武士道 (いつか読んでみたかった日本の名著シリーズ2)」 新渡戸稲造、 夏川賀央

とても平易な言葉で訳されているので、読みやすかったです。
武士道は一度読んでみたかったのですが、こういった訳や装丁がなければ読むことがなかったので、よい企画だと思います。

「武士道」は、武士道について説明する本だと思っていましたが、
実際には武士道が日本社会に及ぼした影響について論説した本です。

この本には沢山の欧米の古典が引用されていますが、
書かれた時代には翻訳本はなかったので、新渡戸さんは全て原文で読んで理解したのでしょう。
新渡戸さんの学識には目を見張るものがあります。

この書籍により外国からは日本人の精神のバックボーンが武士道であると
思われるようになりましたが、私は違和感を感じていました。
それは、当時の日本人の多くは農民で、武士は一部の特権階級と思っていたからです。
しかし、その一部の人間が日本社会のリーダーとなり日本を創り
日本人の社会制度に武士道を植え込んだのかもしれません。

武士がいなくなってから100年を超えて、その精神はすでに失われたようにも思われます。
それでもその社会の根底には武士道が残っており、武士道が残り香として日本人の間に
香っているのかもしれません。