2013年11月11日月曜日

166.「「友だちいない」は“恥ずかしい”のか」 武長 脩行

著者は「孤独力」というコンセプトを提示しています。
これは、安易に群れず、自分で物事を深く考えて、
自律した人間になったうえで、他人と関係を結ぼうということだと理解しました。

本書で一番印象に残ったのは、エリック・ホッファーという哲学者の話です。
この人は、7歳で母を亡くした上に突然失明しましたが、
15歳の時に奇跡的に回復します。
その後、再失明の恐怖から1日10時間読書したそうです。

学校へは生涯を通じて一度も通うわず、仕事の合間に図書館で
読書にふけりました。あまりの貧しさに28歳のときには、
自殺を図ります。

ある日レストランで出会ったカリフォルニア大学バークレー校
の教授に認められ、臨時の研究員として働きます。
そこで功績を上げた彼は、正式の研究員のポストを与えられますが、
これを断り、65歳まで港湾労働者として働き、
「沖仲仕の哲学者」と呼ばれたそうです。

学校に通わず、読書、思索、著作という独学のみで哲学者となり、
肉体労働で生計を立てて80歳の寿命をまっとうしたホッファーに
感動しました。