2015年2月18日水曜日

579.「なぜ、あの人の頼みは聞いてしまうのか?: 仕事に使える言語学」 堀田 秀吾

実用書を期待していましたが、言語学に関する学術書の入門書という感じです。

このテーマで一冊が書かれているのではなく、いくつかのトピックスのうちで、一番売れそうなものを標題としたようです。

商標について書かれた部分が面白かったです。商標登録出願の拒絶理由の一つに、「商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」があります。

たとえば、商品「牛乳」についての商標「おいしい牛乳」です。これを「明治のおいしい牛乳」とした場合、登録されるというのです。その理由は、「自他識別力を商標が持つためには、協調の原理違反が必要」だからだそうです。「明治の」とあたまにつけることで、どこの会社が出しているおいしい牛乳なのかわかる、つまり、自他識別力が出るからだそうです。

著者のいう「自他識別力」は、正しくは、「自他商品識別力」といいます。これは、商標が付された商品が他人の商品と区別できる機能をいいます。「自他商品識別力」をベースに、「出所表示機能」「品質保証機能」「広告宣伝機能」があります。著者が言っているのは、「自他商品識別力」ではなく、「出所表示機能」のことです。