2016年9月7日水曜日

1004.「「ゆうちょマネー」はどこへ消えたか: “格差”を生んだ郵政民営化の真実」 菊池英博 稲村公望 彩流社

新自由主義による郵貯解体を描いています。

米国は、レーガン大統領のレーガノミックス(=新自由主義)により双子の赤字に追いやられ、債務国に転落します。その国内資金として目をつけられたのが、日本の郵貯マネーでした。

国有企業である郵政公社を解体して、株式を購入して支配するために、米国はクリントン大統領の時に、年次改革要望書というものを送りつけて、これを勧告します。

自民党内の郵政族議員の力を削ごうとしていた小泉首相の思惑と一致し、郵政民営化キャンペーンが始まります。その主導者は、「竹中の動くところ必ず後ろにカネの話がある」(奥田碩氏)と言われた竹中平蔵氏。

竹中氏は米国のマーケティング会社を使い、日本のB層(IQが低く、構造改革に賛成する層)を狙い撃ちした宣伝で、まんまと自民党を大勝させたのでした。

その結果、一度参議院で否決とされた郵政民営化法案が、衆院で可決され郵政公社は解体・民営化され、ゆうちょマネーの投資先は株式から米国債へと舵を切られました。

これにより、国債を買うことで日本国内の公共投資に資金が供給され地方までが開発されるという流れから、米国債を買うことで資金が米国に流れ、米国の公共投資に使われるという流れに変わってしまうことを意味するそうです。

小泉政権当時、自分自身完全に印象操作され、なんとなく抵抗勢力というレッテルを鵜呑みにしてしまった自分は、完全にB層であったと思いました。

ブームの時に、反対意見にも冷静に目を向けるにはどうすれば良いのか、課題を与えてもらいました。